又吉直樹さんの「火花」を読んで

先日、毎月の振り返りエントリーで「最近小説オススメしてくれる同僚が会社やめちゃって〜」と書いたところ、twitterのダイレクトメッセージで、「小説の雑誌買ってみたら?」という連絡を受けた。

小説の雑誌があるってこと自体知らなかったから、「文學界」というのを買ってみた。

文學界 2015年 2月号 (文学界)

文學界 2015年 2月号 (文学界)

 

表紙に並んでいる作家陣のほとんどが知らない人たちだったので、とても興味深かった。
知っている作家って、東野圭吾と宮沢賢治と田中芳樹くらいですけどね。

あと、表紙に謎の絵が描かれていたので、他の白い表紙のやつより面白そうだった。

又吉直樹さんの「火花」って小説が面白かった

読み終わった後に表紙を見たら、又吉直樹さんのデビュー作とか書いてあって、作家名でググったら、見たことがある芸人さんがヒットして、「でもデビュー作とか書いてるから違う人なのかな?」って思ったのね。

本人でした!

芸人が書いているという先入観が無かったので、「すごいリアルに芸人さんの話掘り下げるんだな」と思ってしまいました…。
作品は全体的に分かりやすい文章で構成されていて、非現実的な登場人物「神谷さん」の人間性に面白みを感じられる内容でした。
セリフの一つ一つに「面白いとはなにか?」みたいなテーマが含まれているように感じ、それは自分の仕事と重なる部分が多かったので、最後まで一気に読んでしまいました。

太鼓たたきのエピソードがとても心に残る

物語の中盤は、主人公の「神谷さん」が東京に上京してからの数年を描いているのですが、その間に、弟子の「徳永」にいろんなことを語っているのね。
その中でも公園でたまたま見かけた太鼓叩きとのエピソードがとても好き。

「お前がやってんのは、表現やろ。家で誰にも見られへんようにやってるんやったら、それでいいねん。でも、外でやろうと思ったんやろ? 俺は、そんな楽器初めて見た。メッチャ格好良いと思った。だから、どんな音すんのか聴きたかったんや。せやのに、なんで、そんな意地悪すんねん。聴かせろや!」

という「神谷さん」のセリフから始まる流れは、この後、幾つかに流れに分岐してて面白かったんだけど、俺はやっぱり、この引用したセリフがとても好き。

男がどのような経緯であの楽器を手にとったのかは分からない。しかし、男は世界のために人生を賭して楽器を叩くべきなのだ。その美しい世界を台無しにするのも、また本気の刃でなくてはならない。

この大好きな章は、エンターテイナーや寛容な者たちへのリスペクトで締めくくられているんだって思ったの。
この文章も、さっき引用したセリフも、「神谷さん」が何を尊敬していて、何を価値が無いと思うのかを象徴しているようなので、俺にとって、とても印象的なエピソードになっているんだよね。

他のシーンでも、様々な形で「面白い」という状況にアプローチしているんだけど、その一つ一つに説得力があるような気がする。
これ、同僚に読ませたいかも。

ゲームはどうして面白いんだろう?

この火花に登場するライブコンテンツに関する「面白さ」へのアプローチは、ゲーム作りにも通じているんじゃないかなーってぼんやり感じる。
「神谷さん」より「徳永」の視点からの考察に共感するのが多いのは、もしかしたら似たようなことを考えて生活しているからなのかもしれない。

この小説は度々読み返すことになるかもしれない。
俺が「面白い」を見失った時、この小説は、何かしらのヒントをくれる気がするんだ。

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